subiの誕生ストーリー(後半):創業者インタビュー

前編では、subiブランドの運営会社Verde Marula社より前に設立したVerde Africaを起業きっかけについてのストーリーをお話しいただきました。

 

前編のまとめ

之良さんは、11年前に海外協力隊としてザンビアに滞在した時に、日本では当たり前にあるインフラやサービスなどがアフリカには不十分で、しかも生活用品のほとんどは輸入品で粗悪なものが多い上に値段も高いことに着目しました。

生活必需品の中で、少し便利にそれを安く提供すれば、彼らの生活の底上げをする手助けができるのでは、と思ったことがきっかけで、毎日の調理に不可欠な「火」を起こすための「炭」をビジネスにする会社であるVerde Africaを妻の純子さんと設立しました。

さらにこのビジネスはアフリカの森林伐採(通常は炭は木を切って作る)の解決のため、廃棄された炭くずを再生させた「再生炭」を作ることで持続的なエネルギーを生産しています。それは、アフリカの森林を守り、人々の生活を変えられるということも実現できるというものでした。

インタビュアー:5年前からこの「炭」のビジネスを始めているとのことですが、ここからマルラオイルと出会うまでにどのようなことがありましたか?

之良:まず、この5年間のVerde Africaのビジネスを通して、農村部では本当に仕事がないことがわかりました。仕事がないので現金を得られる機会が少ないんです。

インタビュアー:どうしてそれがわかったのですか?
之良:Verde Africaでは、定期的に地方の農家から「再生炭」の原料となるキャッサバを買います。キャッサバは日本で一斉を風靡したタピオカミルクティのタピオカの原料です。ちなみにキャッサバは芋の一種だって知っていましたか?
(写真)キャッサバを剥いて売る街の人


インタビュアー:え!?知りませんでした。ということは、タピオカミルクティはすごい糖質量ということですよね!?だから太ったのかもなぁ笑
之良:それが原因かはわかりませんが笑。やっぱり日本に住んでると中々得られない情報ですよね。アフリカでは主食としてご飯(お米)と同じように食べられていて、生で齧ったり、茹でたり、食べ方は様々です。

インタビュアー:私たちはアフリカにある主食をおやつにたくさん食べていたんですね笑
之良:そういうことになりますね笑 さて、そのキャッサバですが、農家から買っているうちに分かったことがありました。それは、私たちが住んでいる、アフリカ モザンビークという国の首都であるマプト市内では季節にならないとキャッサバは出回らないのですが、地方に出向くと山ほどあることがわかったんです。

インタビュアー:その理由は何だと思いますか?
之良:マプトへ出回らないのは日本の農協のように、中間で農作物の流通を管理し、市場へ持ち込んで売ってくれるような機関がないためでしょう。
アフリカの農村部では、農産物を育てて売るにも、畑は国道から遠く離れ、また都市へ運ぶ車を買う資金もありません。

結局、農民は自力で地元のビール工場へ持ち込み、安く買い叩かれているのが現状です。キャッサバを原料にしたビールがあるんですが、とても安くて街の人にも好まれています。このような状況のなか、農村部で生産するもので安く買い叩かれてしまっているものに、高い付加価値をつけ、海外へ持ち込み彼らに還元すれば、農村部に新たな経済循環が生まれるのではないかと考えました。

インタビュアー:それはいい考えですね!
之良:はい。それで私たちがその橋渡し役となれればと思い、様々なものを見てきました。実際、アフリカの地方には日本では知られていない、磨けば輝くものが沢山ありました。
そんな中で出会ったのがマルラオイルでした。

インタビュアー:なるほど。マルラオイルはすぐに見つかった訳ではなかったのですね。
之良:はい。やっと見つけたという感じでした。

そして、私たちが注目したのが、マルラの木にまつわるストーリーでした。

マルラの木はゾウがその実を好んで食べ、酔っ払ってしまうと言われています。国立公園の中のマルラの木はその葉、枝、幹、そして根まで食べ尽くしてしまうほどゾウは大好きなようです。人々も季節になると実を集めて、ジュースにしたり、発酵させてアルコールにして飲む習慣があります。

マルラの木のようにその実を楽しむことができるという価値さえあれば、人々はその木を切らず、大切にします。更に私たちがその種に価値を見出せばもっと人々はその木をもっと大切にするでしょう。その木から何かを得ることができるという価値を人々が見出せば、その木を大切にし、それは森林資源を守るというVerde Africaが目指すところにもつながります。

 更に、マルラオイルの美容成分にも驚きました。植物性のオイルであるにも関わらず、浸透力が高く、保湿力が高い。また調べていくとその栄養素も豊富で、日本で知られているその他の植物性オイルよりも優れているところがある、ということがわかりました。

そこから、マルラオイルはきっと日本の皆さんにも喜んでもらえるに違いないという確信となっていきました。

インタビュアー:マルラオイルは美容成分が素晴らしいというのは、美容に詳しい友人から聞いたことがありますが、マルラの実はゾウや人々に食用として愛されていることや、マルラの木のように価値がある木は大切にされるというストーリーは初めて知りました。森林資源を守ることに繋がるということももちろん。
之良:そうですね。スキンケア商品の原料にストーリーを知る機会はあまりないかもしれないですね。他社さんのスキンケア商品にも一つ一つストーリーがあると思いますよ。
では、もう少しだけ、subiのマルラオイルについてのストーリーをお話しします。

マルラオイルは、マルラ実の種の硬い殻の中ある仁(じん)から抽出するので、マルラの実を集める人がいるんですね。

僕と純子は、まずはマルラの実を直接買おうかと考えていましたが、マルラオイルを生産するのには一定の技術がいるために、自分たちでは実を買い取った後の生産ができない。だとすると、マルラオイルを調達する先を見つけなければなりませんでした。

私たちは、調達先を見つけること、そしてそこがマルラの実を集めている農村部の人々にきちんと適正な価格で買い取っているかなど、国内外の工場を探し回りました。最終的に出会ったのが、自社でマルラオイルの生産工場を持つある南アフリカの企業でした。


彼らは、マルラの実を集めている地元のコミュニティと密接に繋がり、種を集めてもらい、対価をきちんと支払い、コミュニティを支えていました。
また、彼らの生産設備はどのように種から仁を取り出せば菌の混入を最小限に防ぐことができ、どのようにオイルを絞れば成分を壊すことなく良質なオイルが得られるか、彼らの経験から生まれたオリジナルのものです。

これならば、日本の皆さんに安心して使って頂ける、高品質なオイルが提供できると考え、ここから仕入れることにしました。
先日も、創業メンバーでコミュニティを訪れて、どのようにマルラの実を集めているか?どのようにジュースにするのか?などお話を伺って、実際にマルラビールもご馳走になったんですよ。
そうですね、酸味があってなかなか面白い味でしたよ笑

(写真)マルラの実を集めるコミュニティ長のお宅でマルラビールをいただく

それに、今回マルラの実を採っているモデルさんは、我々が買い付けているコミュニティにいらっしゃる方にお願いしました。喜んで引き受けてくださいましたし、我々が日本でマルラオイルを販売することに対して非常に歓迎してくださいました。

インタビュアー:実際にマルラの実を集めている方々まで直接お会いしているんですね。そして、そのコミュニティの方々に喜んでいただけているのが素晴らしいですし、日本の利用者も安心して使えるのではないでしょうか。
之良:はい。今世界でも生産元の企業についてきちんと対価が支払われているか、企業は厳しい目で見られていると思います。一部の企業や経営者が利益を独占し、労働力や資源を搾取するようなことがことがあってはなりません。
私たちは、自信を持って、現地の方々に貢献していると言えますし、工場も直接視察させてもらって、安全性を確認していますので、ぜひ安心して使っていただきたいです。

インタビュアー:マルラオイルの買い付け先が決まりましたが、お二人はアフリカに住まれていて、日本で販売するというのは難しかったのではないですか?
之良:そうなんです。日本のお客様にインターネットで販売したいと思っていましたが、まさか、アフリカから発送するわけにはいかないですよね笑
その時に日本に住んでいる仲間が必要だと考えました。

そのときに思い出したのが、創業メンバーの一人である中塚奈美の存在でした。彼女は以前に共通の友人が主催したVerde Africaのコンサルツアーに参加し、遥々私たちの住むモザンビークまで訪問してくれました。そして、彼女もまたアフリカで起業をしたいという夢を描いていた一人です。ツアーの後もVerde Africaのことを気にかけてくれ、いつも応援してくれていました。彼女もアフリカでの起業の準備を進める中コロナ禍となり、その道が頓挫してしまい、丁度そこへ私たちが声をかけたのです。日本のコスメ業界へ風穴を開けるには、マーケティングに長けた方に協力してもらわないと太刀打ちできない、それには彼女しかいないと思ったのです。
私たち3人は共同創業者として、株式会社Verde Marulaを設立しました。
更に、私たちのストーリーに賛同してくださり、コスメ業界を全く知らない私たちに、協力してくださっている化粧品開発・販売のコンサルタント、パッケージデザインを引き受けてくださったデザイナー、カメラマン、製品モニターとしてたくさんの方々にも、かなり手厚いご協力をいただき、本当に色々な方々に助けていただき、感謝しかないです。

みなさんのおかげで、このsubiが誕生しました。

インタビュアー:ストーリーに共感してくださった人たちがいて、subiが生まれたんですね。subiについてのコンセプトについて、お話しいただいてもいいですか?
之良:私たちの製品をお客さまに安心して、満足して使っていただくことはもちろんのことですが、お客さまが気に入ってくださるだけではなく、それを作っているアフリカに住む人たちも対価を得ることで、子供をきちんと学校に通わせる、毎日の衣食住の心配をすることがない、といった日本では当たり前の環境になるようにしたいです。

そして、自然や環境に負荷をかけることなく製品が出来上がることを大切にしていきたいと思っています。お客さまだけでなく、生産者も地球もみながWin Winになれるきっかけを私たちが提供できれば嬉しいです。お客さまにもsubiの商品を使うことが遠く離れたアフリカの人々の生活を支え、美しい自然を守ることに繋がっていることを時々想像してもらえると、とても嬉しく思います。
-- subiのブランドについて


インタビュアー:今後、subiをどうしていきたいか、などはありますか?
之良:将来的にはいまマルラオイルを仕入れているこの企業からノウハウを学び、モザンビークに自社工場を建て、現地の方々の雇用を作り、そしてモザンビークで採れたマルラオイルを日本始めとする海外へ広めることが、新たな私たちの挑戦です。その中で、日本の課題である、高齢化社会にも対応できるように、高齢者の人材活用にもチャレンジしていきたいと思います。

マルラオイルを使って頂くことが、自分自身の満足だけでなく、日本から遠く離れたアフリカの人々の支えになっていることを少しでも思い出してもらえれば嬉しい限りです。