良い香り、良いストーリーーsubi製品、ユニークな香りの物語

アフリカンワームウッドの農場にてアフリカンワームウッドの農場にて

 

 subiでは現在、主に「subiマルラオイル」「subiモイスチャライジング・ローション(化粧水)」「subiボタニカルクリーム」3製品を展開していますが、それぞれ香りにも、物語があるんです。

 

 最新ラインナップの「ボタニカルクリーム」では、肌への効能がある原料の他に、特別にこだわった「香り」にまつわる原料を採用し、ご紹介ページでも解説をしています(<香りについて  Scent of Africa>)

 

 アフリカ素材にこだわった完全自然派スキンケアブランドだからこその、ユニークな香りのストーリーをお楽しみいただけたら幸いです。


●マルラオイル、実は無臭の理由

 

マルラオイルsubiマルラオイル

ーーsubiでは、南部アフリカを中心に、アフリカ由来の原料を日頃から探し続けています。香りについても、他にはないユニークな素材を積極的に取り入れてきましたが、そうした香りを選ぶ際の基準や、素材を探すときに大切にしていることは、どこにあるのでしょうか?

 

Verde Marula 香りに限らず、他のエキスでも共通しているんですが、やっぱり「アフリカ由来のもの」は常日頃から、「製品に使えるかな?」という基準でみています。現地の人たちが昔から使ってきたとか、暮らしの中で親しまれてきた背景がある植物には、惹かれるものがあります。ボタニカルクリームなんかもまさにそうですね。

 

 あとは、「誰が嗅いでも良い香り」って感じられること。お客さんはもちろん、開発スタッフや社内のメンバーも含めて、みんなが「これ、良い香りだね」って思えるものが基本にあります。

 

 その上で、いいストーリーがあって、日本ではまだあまり知られていない、でも紹介したくなるような素材。そういうのを大事にしています。

 

ーー最初に製品化されたのがマルラオイルですよね。でもあれって、すごく特別な香りがする感じもしないような…。

 

Verde Marula いきなりですみませんが、マルラオイルは、ほぼ無臭なんですよ(笑)。というのも、一般的にナチュラルオイルって、なかなか匂いがないものっていうのが、あまりなくて。全くではないですが、珍しいかと思います。それがご好評いただいている、大きな理由のひとつです。商品開発中は、「精油で香りをつけようか」といった話もあったんですけど、マルラオイルに関しては「スキンケアやお化粧の邪魔をしない最高の脇役」を目指したのでその形になりました。

 

ー特にオンラインで購入するとなると、その香りがわからなかったりしますね。

 

Verde Marula そうなんです。弊社は立ち上げ当初、まずはECを中心に展開していこうという方針でした。お客さまの反応がすぐには見えないので、香りはあえてつけないでおこう、という判断になったんです。その後、代理店さんとの取引が広がる中でも、「香りがないこと」がむしろ好評だという声をいただいています。

 

──“香りがないこと”が選ばれる理由って、なかなか想像しづらいところもありますね。

 

Verde Marula 精油って、香りや効能は魅力なんですけど、刺激の原因にもなり得るんです。精油の種類や量によって強さは違うんですが、どんなものでも多かれ少なかれ刺激の可能性はある。だから、肌の弱い赤ちゃんにも安心して使えるようにと考えると、無臭にするのが一番安全だという結論になりました。ですので、敏感肌の方でも使っていただけます。

 

ーー結果的に「subiのマルラオイル」を特徴づけたわけですね。

●アフリカ版よもぎ、アフリカンワームウッドはコロナ禍にアメリカでも人気に

subiモイスチャライジング・ローション
subiモイスチャライジング・ローション

ーー続いて「subiモイスチャライジング・ローション」について聞かせてください。こちらは「マルラオイル」とは対象的に、特徴的な香りがしますよね。爽やかでウッディな香りで、男性でも使いやすいです。

 

Verde Marula 確かに男性からも、ポジティブなコメントをいただくことがすごく多いですね。アフリカンワームウッドという精油を使用しています。原産種を探していく中で知って、香りがユニークだったので、これをメインで使おうという話になりました。

 

ーーどんな素材なんですか?

 

Verde Marula 日本でいうよもぎ…アフリカ版よもぎなんですが、モザンビークではあんまり使われていませんが、南アフリカでもっとも使われる薬草のひとつで、咳や鼻づまりへの民間療法にも用いられるみたいです。すごく苦いんですが、煮出した汁を飲み干したり、すりつぶした葉っぱを傷口に塗ったりしています。とにかく薬として、「体調が悪い時にはこれ!」みたいな感じで使われますね。

 

アフリカンワームウッドアフリカンワームウッド

ーー日本でもよもぎは、”よもぎ蒸し”なんて使い方をしたりしますし、もちろん化粧水の原料のひとつになったりしていますね。

 

Verde Marula アフリカンワームウッドというと、日本では知名度がありませんよね。南アフリカでも以前は、あまり売れていなくて、精油農家さんも「どうしたものか」ともてあましていたらしいんです。それが新型コロナ禍に現地の人が咳対応で使っていたら、アメリカで人気になって、知名度が一気に上がったそうです。

 

ーー日本だと、木の香りのものとかありますが、それはそれで強すぎる感じもして。「subiモイスチャライジング・ローション」は、肌に塗った瞬間にさわやかな香りがすっとはいってきて気分も上がりますよね。

 

Verde Marula アメリカでコロナ禍に人気が出たときも、マスクの内側に数滴垂らしておくと、鼻がすーすーして気持ちがいいと、ヒットしたそうです。

 

●砂漠で暮らす人々の肌を守る、母から娘へ伝承される特別な精油

subiボタニカルクリームsubiボタニカルクリーム

ーー「マルラオイル」「ローション」ときて、最後は昨年末に発売となった「subiボタニカルクリーム」です。本商品に関しては、商品紹介ページに、特に香りについての項目を設けるほど、力が入ってる商品ですね。

「香りは100%天然精油。ナミブ砂漠に住むヒンバ族の秘宝「ナミビア・ミルラ精油」と、南アフリカ産オーガニック「ティーツリー精油」のブレンドです」

とあります。秘宝という素材が気になりますね。

 

Verde Marula ある時、ちょうどナミビア(アフリカ南西部に位置する国。ナミブ砂漠が有名)の友達のところ遊びに行ったときに、現地のお土産屋さんで見つけて、製造元に問い合わせたら原料としても扱っていて。素材としての良さももちろんですが、生薬の背景にあるストーリーが面白くて「次に商品を作るときは使ってみたい」と思っていたんです。

 

ーー素材としては、どんなものなんですか?

 

Verde Marula 木の樹脂なんですが、その樹脂を蒸留して、取れたものが「ミルラ精油」とよばれています。抗菌作用があるので、香りだけじゃない成分もあるんですね。

 

ーーナミビアというと、乾燥した気候に、広大な砂漠が広がっているイメージですね。

 

Verde Marula ナミビア北部には、ヒンバ族という部族が暮らしています。砂漠地帯なので紫外線が非常に強いのですが、女性たちの伝統的な装いは肌露出が多いんですね。また、水が乏しいので入浴のチャンスも限られます。そんな環境の中で肌を守り、清潔に保つために「ミルラ」という樹脂で香り付けされた伝統的な顔料を体に塗って過ごしているんです。このミルラは、母親から娘へと「この樹からこうやって採るんだよ」と受け継がれてきた、大切な生活の知恵でもあります。

 

ミルラの精製ミルラオイル

 もともと彼女たちは遊牧民族で、ヤギや牛を育てながら移動し続ける暮らしをしてきました。そんな中で、ミルラを採って活用する文化も自然に受け継がれてきたんですね。

 

 最近ではその暮らしにも少しずつ変化があって、子どもを学校に通わせる家庭が増えたり、体調を崩したときには病院にかかるようになったりと、少しずつ“現代的”になってきています。そうなると、やっぱり必要なのは「現金」です。

 

 だから、ミルラを採って販売し、その収入で子どもを学校に通わせたり、医療を受けさせたりする。そうした現地の経済の循環を支えることができるという点にも惹かれました。

 

●リラックスのひとときに寄り添う香りの物語を

 

ナミビアのヒンバ族ナミビア・ヒンバ族の宝

 

Verde Marula 代理店さんに新商品を説明する際にも、そうしたストーリを交えご紹介をしているんですが、「ボタニカルクリーム」の香りを気に入ってくれたスタッフさんから「ヒンバ族について調べます」というお話をいただいたこともありました。そうやって、私達の商品が、なにかのきっかけとなって、アフリカについて知ってもらえるのはとても嬉しいですね。

 

ーーたしかに、本が1冊書けますよね。香りが製品に「もう1つの物語」を加える装置になっているという。

 

 一方で、そうした日本で未知の生薬や精油を使用するときに、ハードルもあるそうですね。

 

Verde Marula 化粧品の原料には、国際的な登録名と、日本国内で表示に使う名称──この2つが必要になるんです。今回使いたかった原料のひとつ、アフリカンワームウッドは、海外ではすでにINCI名(国際的な成分名)が登録されていたんですが、日本では表示名称がまだなくて。そこを私たちで申請することにしました。

 

 そもそも現地の農家さんにとっては、そうした制度があること自体が知られていません。なので「この原料に意味があるのか、名前は登録できるのか」と一つひとつ調べながら、日本の関係者の方々にも協力いただいて、「日本語の表示名称は申請できそうだ」とわかったときは、本当にほっとしました。

 

 その後、日本化粧品工業連合会(粧工連)に申請をしたんですが、なかなか承認が下りず……。結果的にその影響で、化粧水の発売が少し遅れてしまいました。

 

ーーそれは大変でしたね! アフリカっていう広大な土地に、まだまだ日本で知られてないものは山ほどあるから、原石だらけですね。

 

Verde Marula そうなんです。またそれぞれにおもしろいストーリーや背景があったりするので使ってみたい物もたくさんあるんですが、登録がなくて諦めたみたいなものもあります。また、思っている以上に高くてさすがにまだ使えないものも。今後の商品展開でどういかしていくか、考えどころです。

 

ーー日本だと、香りがきついものは、ちょっと嫌がられたりしますし、人によって好みも変わります。ストーリーや背景といっしょに楽しめるといいですよね。


Verde Marula そうですね。香りって吸い込んだ時に一瞬、リラックスするじゃないですか。弊社の商品では、皆さんのその瞬間に寄り添えるような香りでありたいと考えて商品開発をしています。そのひとときに、ナミビアの景色を思い描いたりして、精油の背景をちらっと思い出してもらえたら嬉しいなと思います。